このサイトでは、何度か骨盤底筋群についてお知らせしてきました。
骨盤底筋群は、ハンモック状に内臓を支え、尿道や膣、肛門などを取り巻いている筋肉で、ここが衰えると瀕尿や尿もれが起きやすくなります。膣トレで鍛えるのもこの筋肉です。
骨盤底筋群の働きや鍛え方などをまとめます。
内臓を支える
骨盤には「底」がありません。
その代わりに臓器を下から支えているのが骨盤底筋群です。水がたくさん入ったビニール袋の「底」の部分が骨盤底筋群、というイメージです。
骨盤底筋群が衰えると、尿モレや子宮下垂、子宮脱などのリスクが増えてしまいます。
姿勢を支える
骨盤底筋群は、お腹や背中のインナーマッスルと連動して腹圧をキープしています。
つまり骨盤底筋群だけが衰える、緩むということは少なく、お腹や背中の筋肉も同時に弱ってることが多いのです。
すると、お腹がポッコリしたり、お尻がタレたりしてきます。スタイル維持にも骨盤底筋群はポイントになります。
排せつや生殖に関わる
骨盤底筋群は毎日の排せつ活動を司っており、お産の時には大きく伸びて赤ちゃんを支えます。
収縮力や柔軟性が衰えると、尿モレや瀕尿などの排せつトラブルが起こりやすくなります。
残念なことに、エストロゲンの作用で、女性の骨盤底筋群は衰えやすい特徴があります。ポッコリお腹や尿モレが女性に多い一因です。
膣トレを意識しなくとも、女性は骨盤底筋群のエクササイズを実践すると、健康維持に貢献してくれます。
座り仕事の多い女性は、特に意識して下さい。
骨盤底筋群の解説「ほんとうのスローセックス」より
婦人科医の北村邦夫さんと、漫画家の伊藤理佐さんの「ほんとうのスローセックス 愛がいつまでも続く(Amazon)」という本に、骨盤底筋群についての説明がありました。
とても詳しく、わかりやすかったので一部抜粋して紹介します。エッチにどのように関わってるかもわかります。
この「ケーゲル体操」、最近では本来の目的と併せて、性感アップのためのトレーニング法として有効だと評価されています。
その方法は、骨盤底筋を鍛える、ということに尽きます。
とくに重要なのは、この領域に含まれる「PC筋」という筋肉です。これは性器や直腸、膀胱などをちょうどハンモックのように支えている恥骨から尾骨までつながっている筋肉、恥骨尾骨筋(Pubo-Coccygeal muscle)のことです。
皮膚から2~3センチ程度下にあって、1センチから5センチの厚みを持った筋肉で、外陰部の神経に支配されています。
要するにクリトリス、陰唇、膣口、肛門周辺の刺激を探知して、その信号を脳に送る役目を持つ神経です。
その結果、脳の指令を受け、再び反応する。オーガズム期に入ると膣は0.8秒間隔で収縮を繰り返しますが、この収縮に大きく関わっているのがPC筋なのです。
(ほんとうのスローセックス 愛がいつまでも続く(Amazon)150~151ページ)
PC筋が衰えると「尿もれが起きやすくなる」と書きましたが、衰えているかどうかはどのようにして判断するのでしょうか?
PC筋の衰えをチェックする方法
雑誌「日経ヘルス」に、このPC筋の衰えをチェックする方法の記事がありました。
とても簡単です。
その方法とは、
片脚で立つ
これだけ。
鏡の前に立ち、骨盤に両手を当てて、その状態で片脚をゆっくり、少しだけ上げてみましょう。
その時、骨盤が左右に傾いたり、グラグラしませんか?
骨盤に傾きが出たり、グラついたりするなら、骨盤底筋とそれに関わる筋肉(腹横筋や内転筋など)が衰えているかもしれません。
もしそうなら、歩く際も骨盤の左右の高さがグラグラ揺れるので、歩き方も美しくなくなります。
このチェック法は、そのままエクササイズにもなります。
椅子の背もたれにつかまって、骨盤の左右の高さを変えないよう意識しながら片脚立ちを繰り返すだけです。お腹に力を入れながらやると、骨盤底筋群を意識しやすくなります。
簡単な動作ですが、骨盤底筋群とそれに関連する筋肉を鍛えられるのでおすすめです。
テレビを見ながらなど、ちょっとした細切れ時間に実践してみて下さい。
PC筋鍛練法 膣トレ 性感アップにも
上で紹介している「ほんとうのスローセックス」から、PC筋のトレーニング例を紹介します。
これはいわゆる「膣トレ」であり、性感アップ効果もあります。未経験だったオーガズムを得られるようになった女性もいるそうです。
似たようなトレーニング法はこれまでにも紹介していますが、内容が微妙に違うので一読の価値はあります。
ちょっと長くなりますが、抜粋して紹介します。
まず仰向けに寝て、小便をするような感覚で性器を上方に引き寄せるようにします。
そして次に大便をするように性器を押し出すようにします。これでPC筋の存在が認識できるはずです。
このとき、腹部や大腿部の筋肉など周辺の筋肉も動くようですと意味がありません。あくまでPC筋だけ動かすようにしてください。これを繰り返していけばいいわけです。
ケーゲルによれば、一日三百回の収縮運動が必要ということですが、百回程度を三回に分けて行えばいいと思います。
二~三週間程度訓練した後の成果については、自分で確認することもできます。
まず膣口が開く程度に足を開き、自分の指を二本挿入します。そして膣口から三~四センチ入ったあたりで指を骨盤のほうに向けて押し込んでください。
鍛えられたPC筋であれば、三センチ程度の筋肉の厚みを感じることができるはずです。
このPC筋を直接、指で押しつけたり離したりを繰り返すこともトレーニングになります。だからこそ、性感が高まってしまう副効用がある、と専門書は書くわけです。
PC筋の鍛錬によって、それまでは未体験だっオーガズムを得られるようになった、という女性もいるくらいです。
それでは改めてご一緒に。
肛門をすぼめ、性器を上方に引き寄せるような感覚で八つ数えましょう。次いで排便するように性器を押し出す調子で八つ。
そのとき、お腹の筋肉を動かさないように注意すること。これを無理しない範囲で繰り返してみましょう。
食事中でも、仕事中でも、通勤時間にもできる簡単な鍛練法です。
ご健闘を!
「愛がいつまでも続く ほんとうのスローセックス」152~153ページより。
これまで紹介してきた膣トレでは、いずれも「呼吸も意識して行う」といった注意点がありましたが、北村医師は呼吸については言及されていません。
いろんなやり方があるようなので、タグの「膣トレ」をクリックして、自分に一番合いそうなやり方を選んでみて下さい。
膣トレが必要かどうかについては、こちらのエントリーをご覧下さい。
膣トレは必要?自分で締まるかユルいかを判断するチェック項目