現代人が最も気にする病気のひとつにがんがあります。

「がんを予防する」主旨のトピックは多く、そのひとつに「ピルの使用」あるのはご存知でしょうか?
 
北村邦夫医師が著書「ほんとうのスローセックス 愛がいつまでも続く」で、この件について解説されています。
 
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ほんとうのスローセックス 愛がいつまでも続く
ほんとうのスローセックス 愛がいつまでも続く
 
同書の180~183ページから一部を抜粋して紹介します。

ピル服用でがんリスク低下 英国の調査

北村医師は「ピルの服用ががんを予防する」として、このように解説されています。

乳がんの話に関連して、がん予防とピルについても少しお話しておきます。
 
最近、ピルを服用していた女性は服用したことのない女性に比べて、がんになる危険性が12%減少するとの報告が英国から寄せられました。
 
ピル推進派の僕としては、これを皆さんにご報告せずにはいられません。

イギリス行われたで大規模な調査で判明しました。

「British Medical Journal」という著名な医学雑誌に、英国一般医協会から膨大なデータをもとにした研究報告が掲載されています。
 
それによれば、1968年5月に始まった調査で、英国全域における一般医(日本では開業医あるいは「かかりつけ医」)1400人が、ピルを服用している女性2万3千人、服用していない女性2万3千人を募集し、以降、実に36年間にわたってがんになったかどうかの追跡調査を行いました。
 
もちろん、出産を望んでピルの服用をやめた人、医師が調査を中止した等で、調査から外れていった人もいるわけですが、これだけ多数のピル服用者と非服用者の追跡調査の結果が明らかになったのは世界でも初めてです。
 
年齢、出産回数、喫煙、社会階層、ホルモン補充療法などの有無によってがんになる危険が高まることがありますので、これらを補正しながら各種のがんの罹患率を算出しています。
 
医師と患者

がんの種類によってリスク低下の度合いには差があり、リスクがわずかに上がるがんもあります。

その結果、ピル非服用者に比べ、服用者では発がんのリスクが12%減少することが明らかになりました。
 
特に低下したのは大腸または直腸がん、子宮体がん、卵巣がんなどです。逆に、わずかに上昇したのは子宮頚部のがんでした。
 
今まで、ピルを服用すると乳がんになる確率が高まるといわれていましたが、乳がんについては服用者と非服用者との間で統計的な差は認められませんでした。
 
これらを合算すると、主な婦人科がんのリスクは、ピル服用者の場合29%も減少していることがわかります。
 
顕微鏡をのぞく女性

ピルは避妊薬なので、ある程度の年齢に達するとほとんどの女性は服用を止めてしまいます。
 
その場合、がんリスクはどうなるのでしょうか?

ピル服用停止後および服用女性の年齢別リスク調査結果

ピルの服用をやめてからの期間のリスク変化および服用している年齢についての調査もあります。

また、ピルの服用を中止した後、どれくらいの期間がたっているかについて調べると、ピルの卵巣がん防止効果については、ピルの服用中止後少なくとも15年間は継続し、期間間隔が長くなるほど相対リスク(ピルの非服用者のリスクを一とした場合の服用者のリスクを数字で表したもの。一より低ければ危険性が少なく、一より大きければ高い)が低下することが明らかになりました。
 
子宮体がんのリスクもすべて一を下回っていましたが、現在服用中の場合と、(服用停止後5年以内に)最近服用を再開した場合のリスク推定値だけは統計上有意なものでした。
 
その他のがんについては一貫性はありませんでした。
 
ピルを現在服用している人と最近服用を再開した人との間では、子宮頸がんのリスクが初期に上昇したものの、時間の経過とともに消滅しています。
 
また、ピルを服用している女性の年齢とがん発症リスクとの関係を見ると、絶対リスクを低下させる率は30~39歳では10万対34、40~49歳では10万対24、40~59歳10万対90、60歳以上10万対47で、若年女性よりもむしろ高齢女性のほうに有利となっています。
 
こうした結果は、少なくとも比較的健康な英国女性では、がんのリスクはピルの服用による利益のほうがリスクよりも大きいことを示唆しています。
 
丸サインを出す医師

今後はピルに対する認識が変わるかもしれません。

ピル処方の臨床現場に限らず、日本の多くの女性が「ピルを飲むとがんになる」などの誤った情報に振り回されていることが少なくありません。
 
子宮頸がんのようにHPV(ヒトパピローマウイルス)による感染が原因となっていることが明らかである以上、ピルでは予防できないわけで、コンドームの使用を怠れば罹患率が高まるのは当然といえます。
 
今まで、がん予防のためにピルを服用するというようなことはありませんでしたが、月経痛を和らげる、月経決了を減らす、月経周期を調節するなどのピルの利点を考え合わせると、「避妊のためにピルを」というよりも、「女性のQOL(生活の質)の向上ためにピルを」の時代がそう遠くない将来に訪れるかもしれません。

がん対策としては定期的な検診での早期発見が大前提です。
 
それに加えてピルの服用も実践する価値がありそうです。
 
ピルは処方が必要なため広く使用されているとは言えませんが、健康診断の際にでも医師と相談してみてはいかがでしょうか。

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