避妊は充実した性生活に欠かせません。
またコンドームやピルは、単に「子供を作らない」ためだけでなく、性感染症の予防や女性特有の症状を和らげる手段としても活用できます。
このコンテンツでは、代表的な避妊法の妊娠を防ぐ以外の用途もまとめてみました。
コンドームを使う際の注意点
コンドームは避妊のみならず性感染症を防ぐ手段としても有効です。
ただし誤った使い方をしていては効果を発揮できません。
正しい使い方を紹介します。
まず、コンドームには使用期限があります。品質保持期間内のものを使用しましょう。
ただし期間内のものであっても、直射日光に当たる場所など、不適切な場所で保管されたものは劣化している場合があります。
コンドームの使い方 潤滑に使える・使えないもの
1 取り出す際は爪で傷をつけないようにする
コンドームを端に寄せた状態で切り口がコンドームにかからないように開け、開けた部分は完全に切り離しておくと安心です。
2 精液だまりを軽くつまんで空気を抜く
ここに空気が残っていると射精した際に破裂することがあります。
3 勃起後はすぐペニスにかぶせる
4 ペニスの根元にたるんだ皮膚が残らないようにかぶせる
このとき、毛を挟まないように。挟んでしまうと痛いですし、コンドームを破損する恐れもあります。
5 ペッティングも装着した状態で行う
6 性交後はペニスが縮む前に女性器から抜く
ペニスの根元でコンドームを押さえながら抜き、使用済みのコンドームは生ゴミとして処理します。
コンドームのすべりが悪い時は、性交痛防止用に市販されている潤滑液を使うのが最適です。場合によってはワセリン、唾液でも良いでしょう。
時にはバターやオリーブオイル、または女性が使うコールドクリームをコンドームに塗るケースがあるようですが、これらはいずれも使用するべきではありません。
コンドームがラテックス製の場合、これらに含まれている油分でコンドームが溶けてしまうおそれがあるからです。
コンドームが溶けて破れてしまっては、避妊効果は当然期待できません。
コンドームの起源 日本では?
コンドームの起源は紀元前3000年ごろのエジプトだそうです。ブタやヤギの盲腸や膀胱を原料にして作られていました。
しかし当時は避妊のためではなく、男性器を虫刺されなどから守るための下着の一種として利用されていたようです。
同時に男性器への刺激を減らして性交の持続時間を長くするねらいもあったのだとか。
現代でも厚手のコンドームを着けて男性が早く絶頂に達してしまうのを防ぐ使い方があります。
その他にも世界では魚の浮き袋を利用したコンドームも作られていたそうです。
今日のコンドームの原型となったのは牛の腸膜製で、作ったのはチャールズ二世付きの医師だったドクター・コンドームという人です。
チャールズ二世は大変な好色だったそうで、非嫡出子だけでも14人もおり、王位継承に混乱をきたすといけないという配慮から避妊具が開発されたのです。
日本では江戸時代から使われていました。
1909年にはゴム製の第一号が作られています。
膣内避妊薬フィルムの使用法・扱い方
膣内避妊フィルムは殺精子剤を錠剤、ゼリー、あるいはフィルムの形状にしたもので、薬局で購入できます。
使用法は簡単なため若い人たちに人気がありますが、避妊の成功率は80%ほどなので、確実とは言えません。妊娠を望まないのであれば、コンドームとの併用が勧められます。
膣内避妊フィルムには非常に苦い味がついていますが、服用薬と間違えないように保管しましょう。
使用の際には、性行為を行う7分前に膣に挿入します。
フィルムをすばやく三つに折りたたんで、人差し指に巻きつけます。片ひざをついた姿勢で指を膣内にできるだけ深く入れ、フィルムを挿入します。
フィルムの扱いには慣れが必要です。作業をすばやく行わないと、フィルムがベタベタと指にくっついて挿入が難しくなります。
フィルムの避妊有効時間は約2時間です。
それ以上経ってから男性が射精した場合は避妊の効果は保証できません。
女性用コンドームとは 使い方など
女性用のコンドームは男性用と外見は似ていますが、細かい部分で違いがあります。
長さは男性用と同じで約17cm、太さは倍の7cm、両端は内リングと外リングが付いています。
内リング側から膣内に挿入し、内リングを子宮口にかぶせ、外リングは性器から出しておきます。男性はこの外リング内に挿入し、その中で射精します。
精液が膣内のコンドームに残っているので妊娠しない仕組みです。使用後は外リング側を引っ張ることで簡単に取り出せます。
男性用コンドームの避妊成功率は98%ほどで、女性用は97%くらいになります。
ピルの原理と避妊以外の効果
ピルには二つの女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンが含まれています。
これを飲むと体内のホルモンバランスが妊娠中に近くなり、体が妊娠中と錯覚して排卵が抑制されるため妊娠しなくなるのです。
ピルには避妊だけでなく次のような効果も期待できます。
・生理痛やPMSを軽くする
・ニキビや吹き出物が改善する
・子宮や卵巣の疾患リスクが低下する
ピルの副作用として肝臓への負担や体重増加といったものが以前は心配されましたが、現在はずいぶん改善されています。
上のような効果を得て生活の質を向上させるため、欧米の女性の間ではピルが広く使用されています。
日本ではピルの使用はあまり一般的でありませんが、生理痛などの症状に悩まされているなら一考の価値があるのではないでしょうか。
緊急避妊薬とは 副作用など
緊急避妊薬は性犯罪の被害に合うなど、望まない妊娠の可能性がある際に利用されます。
緊急避妊薬には中用量ピルを使用することが多く、性交後72時間以内に2錠、その12時間後さらに2錠服用します。
服用後には吐き気や悪寒などの副作用が表れることがあります。
副作用が少ない「レボノルゲストレル」という新薬の臨床試験も始まっています。
(07年3月現在)
緊急避妊薬は体に負担をかけるものであり、避妊効果は100%ではありません。また緊急避妊薬は病院に行けばすぐ入手できる、というものでもありません。